2014年 05月 08日
数の勝負か、米NY上院議員は韓国系との「連帯」強調 「東海」併記法案可決
【ニューヨーク=黒沢潤】
米東部ニューヨーク州の上院で「東海」併記法案が可決された背景には、
韓国系住民が日系住民を人口比で圧倒しているという事情もありそうだ。
法案提出を主導した議員たちからは、11月に実施される州議会選を見据えるかのように、韓国系住民との「連帯」を強調する声が相次いだ。
「韓国系コミュニティーは勝利するにふさわしい」。
法案を提出したアベラ議員は可決後、こう強調した。
また、「韓国と中国は2000年以上にわたり、『東海』と言ってきた」とした上で、
「私は(日系側ではなく)韓国系米国人の側に立った」と力説した。
同僚のスタビスキー議員も別の法案を提出していたが、16年6月以前の認可分を含む「すべての教科書」での併記を求める内容だった。
このため、「膨大な費用がかかるとして州側が難色を示した」(米国人記者)という。こうした経緯から、州の負担が少ないアベラ氏の法案が採決されるに至った。
法案に自分の名前を残せなかったスタビスキー議員は可決後、自らの案が可決された法案の「モデル」になった、とさりげなくアピールした。
また、地元ニューヨーク市フラッシング地区に多数住む韓国系住民を念頭に、「私の選挙区の有権者や活動団体と出会えたことを誇りに思っている」と強調した。
韓国系住民との関係を盛んに口にすることは、11月の州議会選と無縁ではないとの見方は多い。
「例えばニューヨーク市だけでも、2万5000人の日系住民に対して韓国系は10万人もいる。
地元議員がどちらの側を大事にしたいかは一目瞭然だ」。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はこう指摘する。
可決に先立ち、議場では旅客船「セウォル号」沈没事故に対する哀悼決議が採択された。
「他国の一地方議会が採択するには違和感がある」(関係者)との声も聞かれたが、議員らは在ニューヨーク韓国総領事館を通じ、決議採択の事実を韓国政府に伝えたという。
こうした韓国重視の姿勢に、議場を訪れた「韓国系米国人権利向上協会」など複数の団体関係者は手放しで喜びを表現した。
そのうちの一人、ヒュン・ビン・イム氏は「法案を提出した議員に心から感謝を伝えたい。(法案が可決されて)とても素晴らしい日となった」と語った。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140508/amr14050822090010-n1.htm