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今日ボクが見た風景

朝日新聞が世間の感覚とズレにズレている理由

政治部は人であらず


相場:主要メディアで官房機密費問題を追及しているところはほとんどないのですが、一般の人にはかなり浸透してきたのではないでしょうか。



窪田:浸透してきましたね。これまで多くの人は、新聞記者やテレビ報道に携わる人のことを「中立な人だ」「正義の象徴だ」と勘違いしていましたが。



相場:確かに。大いなる誤解はあったでしょうね。



窪田:官房機密費の問題では、政治家が政治評論家や主要メディアの解説委員クラスに「お金を渡したのではないか?」という疑いが出ています。しかしヒラの記者にも、政治家は“お年玉”と称して、お金を配っていました。そんなに大きな額ではありませんが、年末や正月にお金を受け取った記者は多いはず。


 記者が政治家のために好意的な記事を書けば、当然「ありがとうな」ということになる。そして政治家からメシをおごってもらったりする。それだけならまだしも、やがてエスカレートし、正月にお年玉をもらったりするのかもしれない。



上杉:官房機密費は、政治の問題だけじゃないんですよ。メディアの問題。そもそも官房機密費というのはあって当然だと思う。使い道をオープンにすれば、いろいろな面で「抑止力」になるわけですし。問題は、ジャーナリストがお金をもらったということ。しかもお金の出所は税金なのに。



 ボクはこのことを何度も言っているのに、必ず「官房機密費のあり方について」という議論に戻されてしまう。フリーのボクがこの問題を取材していますが、本来であれば新聞やテレビが率先して内部調査しなければいけない。それが“筋”というもの。しかも税金の使い道に関する問題なのに、主要メディアはだんまりを決め込んでいる。記者クラブ問題のときと同様、今回の件についてはそういう動きが全くない。



相場:日本のマスコミは、ものすごく官僚的ですね。



上杉:そうですね。マスコミと思うからダメで、むしろ彼らのことを「官僚」だと思えばいい。


相場:なるほど。分かりやすいですね。



窪田:日本のメディアはジャーナリストではなく、「役人」であれば腹が立たない……ということですね。



相場:ボクには小学校5年生の子どもがいるんですが、なぜか息子のクラスにはマスコミ関係者の父親が多い。でも、父親がマスコミで働いている子どもは肩身が狭いそうで……。



窪田:それはかわいそうですね。



相場:ちなみに、ウチの息子はこのように言っているそうです。「ボクのパパは、元時事通信社の経済部だ。政治部ではない!」と(笑)。



上杉:昔は政治部以外は人にあらずだったのに……隔世の感がありますね。


朝日新聞のズレ


相場:ボクがいた時事通信社でも、政治部記者の多くは真面目に取材をしていました。しかし偉くなっていくと、社内の権力闘争に明け暮れていくんですよ。そして、それに勝った人間が上に上り詰めていく。



窪田:まさに官僚的ですね。ボクも以前は朝日新聞にいて、そのときにもらった資料や本を探してみました。何か面白いことでも書いていないかな……と(笑)。


 入社したときに『歴史の瞬間とジャーナリストたち 朝日新聞にみる20世紀』という非売品の本をもらったので、読み返してみました。その本には、朝日新聞の記者が日本の近代化にどれだけ役目を果たしたか、といった内容が書かれていました。



上杉:負の歴史ですね(笑)。



窪田:あらためて驚いたのは開いて1ページ目から、「日露開戦にいち早く布石」という見出しで、当時の朝日新聞主筆・池辺三山が外務省の参事官から、元老と会って「対露強攻策で問題解決を図るよう働きかけてほしい」と頼まれるくだりからはじまっていることです(笑)。



上杉:それって、ものすごくマズイじゃないですかっ!



窪田:元老の山縣有朋が日露交渉に賛成する姿勢をみせたので、開戦論者の外務官僚からすればワラをもすがる思いで頼んだわけですよ。池辺主筆も期待に応え、「いまなさねばならぬのは、断じてこれを行うという決断です」と説得、山縣は頭を垂れて涙を流したと書いてあります(笑)。


 要するに、朝日新聞の役割というのは、取材よりも官僚の役にたって政治に働きかけることであるということです。なんせ……1ページ目から書いてあるくらいですから。



上杉:それって、自分たちがジャーナリストではなく、プレイヤーであることを宣言しているようなもの。



相場:じゃあ昔から、読売新聞社のナベツネ(渡辺恒雄)さんみたいな人がいたということですね。



窪田:ですね。事実、この逸話は「これ以降、日本の新聞界に近代的エディターとしての主筆が定着する」と誇らしげにしめくられています。やはり朝日新聞の感覚というのは、世間とズレていると思いました。



上杉:それは朝日新聞だけではないですよ。どこも同じようなもの。


 あとメディアには「愛社精神」というヘンなものがありますよね。「朝日人」とか。ちなみにボクがNHKにいたときには「NHKマン」だった(笑)。これってものすごく気持ち悪い。



窪田:気持ち悪いですね。それって昔の「オレは大蔵官僚だ」「ワシは通産官僚だ」といった感覚に近いのかもしれない。



上杉:また彼らは、家族で同じ寮に住んだりしている。そうすると考え方まで似通ってくる。



http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1008/11/news010.html


by hinoe-e | 2011-12-25 21:24 | 報道